藤島旅館
1.入浴時間・料金・混雑度
○日帰り入浴時間 11:00〜21:00
○日帰り入浴料金 300円・500円
○露天風呂 あり
○お風呂の数 300円内湯(男1・女1)
500円内湯(男1・女1)
○客室数 18室
○タオル 200円(ロゴなし)
○公式HP https://fujishima-ryokan.com/
○混雑度 お風呂で会った人数 10人以上
○個人的オススメ度 ★★★★★
2.場所・電話番号
〇電話番号 0229-84-7412
3.泉質
■源泉 真癒の湯(高温)
真癒の湯冷泉A・真癒の湯冷泉B
■泉質 含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
(含重曹芒硝硫黄泉)
■温度 47.6度 pH7.5
■成分総計 1052mg
4.川渡温泉について
川渡(かわたび)温泉は鳴子温泉郷の1つに数えられる温泉。
仙台方面から鳴子温泉郷へ向かうと最初に到着する温泉です。
鳴子温泉郷の中でも最も古い歴史を持ち、1000年以上前に発見されたと伝えられています。江戸時代には仙台藩の御用湯が置かれるなど大いに賑わいました。かつては命取りの病気だった脚気に特に効能があるとされ、「脚気川渡」と称されたほど。最上街道から江合川を挟んだ対岸にあったことから、「川渡」の名がついたと言われています。
5.外観・館内・お風呂
藤島旅館は川渡温泉の中心部にどっしりと居を構える旅館。
創業は安土桃山時代の慶長元年(1596)で、代々川渡温泉の湯守を努めてきた由緒正しすぎる旅館です。
そんなわけで、藤島旅館の周囲には松林も残り、湯守の貫禄が現在も残っています。
川渡温泉は小さい旅館が多いのですが、ここだけは別格という感じです。ですが、決してお高く止まっているわけではなく、日帰り入浴にも超積極的なため、多くのお客さんが次から次へと訪れます。
歴史を感じる引き戸を開けると、これまた歴史を感じる土間の玄関がお出迎え。提灯が吊るされ華やかな雰囲気。
帳場は向かって右側の一角。ここに女将さんが常駐しています。
いない場合は、土間についているこのスイッチを押すと呼び鈴がなるシステムですが、こんなところにあっても気づく人は少ないのでは。
藤島旅館の人気の秘訣はその圧倒的な料金の安さ。
日帰り入浴はたったの300円でオッケーなのです。
そして日帰り入浴時間の長さもすごい。
朝の7時からなんと夜の23時まで日帰り入浴を受け付けてくれるます。というわけで、地元や近隣の方が300円を握りしめ、お風呂セットを片手に続々とやってきます。
この日は実は宿泊したのですが、夜の22時過ぎだというのに、親子連れなどお客さんは絶えずやってきていました。夜の玄関は提灯に明かりが灯り、お祭りに来たような気分になります。
ちなみに帳場の前にアイスが売っています。王道のアイスははひととり取り揃えている感じ。お風呂上りはアイスが当然食べたくなるものですが、意外と売ってる所って少ないんですよね。
私もお風呂上がりにいちごフロートをいただきました。
玄関のショーケースの中には、ふくろうなどの縁起物の置物が売られていましたが、
ミニカーなどなんでここに売っているのか、わからないものも。
サンドバッグまでありました。夜は「宿泊のお客様の迷惑になるので殴らないでください」と張り紙がしてありました。
撤去してしまえばよいのでは??
お風呂は二箇所あって、料金が異なります。
一番大きく有名な大浴場は300円ですが、ボディソープやシャンプーがありません。
もう一方の500円のお風呂は大きさはそこまでではありませんが、アメニティ関係は一通り揃っています。
どちらも露天風呂はありません。
皆さんは300円の大浴場が目当てのようで、500円の浴場に行く人はほとんどいませんでした。
ということでまずは300円浴場を目指します。
途中にあるゲームコーナと自販機コーナも夜になれば、こんな感じに提灯に灯りがつきます。ゲーム機から流れるBGMのせいで、ちょっと安っぽい雰囲気に。湯守としての老舗旅館の格式は隠し、大衆的な旅館として経営されています。
湯治も可能なため、館内にはガチな売店もあります。
ラインナップはカップラーメンやポテチなどのお菓子や食料品がメイン。
旅館内の売店を見ると、北東北の温泉に来たなあという気持ちになります。
一応、鍵付きの貴重品ロッカーもあります。お客さんが多いと盗難が気になることもありますが、これなら安心。
どんどん進みます。この廊下の先が300円浴場。
お風呂までの最終アプローチは絶妙な段差のゆるい下り階段。
この一角には湯治客用の洗濯機や、
有料ですがドライヤーもあります。一回100円。
お風呂入り口。男湯は隠れていますが、右側にあります。
藤島旅館の源泉は真癒(まゆ)の湯という、いかにも効能の高そうな温泉を使用しています。
脱衣所。長くて広い感じ。
こちらが300円大浴場。湯気でモヤモヤしていますが、かなり広い浴槽です。露天風呂はありません。
ざっと20人くらいは入れそうな感じです。
朝7時の誰もいない時を狙って撮影していますが、普段こんなに空いているなんてことはありません。
この10分後くらいは、お風呂セット持参のお客さんがチラホラと訪れ始めていました。
夜23時頃はこんな感じの雰囲気。川渡温泉は濃い抹茶色のお湯。
鳴子特有の微油臭と硫黄臭のするお湯です。
味はちょっと甘みがあります。
もちろんですが、加水加温なしの源泉かけ流し!
硫黄臭はしっかりありますが、成分的にはそこまで硫黄分が多いお湯ではありません。
泉質は含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。
硫黄分は遊離硫化水素(ガス)ではなく、硫化水素イオンとして含んでいるのも特徴。ガスとして含む場合は白濁することが多いのですが、そうではない場合、このように緑色になることがあります。
お湯はなかなか熱め。
鳴子温泉ではどの旅館でも玄関に旧泉質名の表記がされているので、直感的にお湯の特徴がわかりやすいと思います。
重曹は洗剤に使用されているとおり、クレンジング作用が強く、
お風呂上がりは肌が明らかにサラサラになります。
また肝臓の湯とも呼ばれ、飲用すれば、胆汁の分泌を促進し、肝臓や膵臓の働きを強めると言われています。
ただ、脚気川渡と言われた「脚気」はビタミンB1不足や糖質の過剰摂取によるもの。果たして川渡温泉に、当時死の病であった脚気を治す効果が本当にあったのかどうかは謎です。
大浴場の隅に打たせ湯のようなスペースを発見。
ですが、ボタンもボロボロでなんの案内もなく、不用意に押してお風呂のボイラーを止めたりでもしたら大変なので、押すのはやめておきました。が、後から来た常連と思われるお客さんは、堂々と打たせ湯を満喫していたので、押しておけばよかったと後悔。
続いて500円浴場。先程の玄関から直進するとお風呂です。この日は宿泊しているため、どちらも入っていますが、二箇所入浴するなら、本来であれば500円+300円で800円を支払う必要があります。
500円浴場の入り口。このあたりは、お食事処になっているようでした。
脱衣所。300円浴場とは異なり、狭いですが、コンパクトにまとまっていて、アメニティも揃っています。これが200円の差。
こちらが500円浴場。先程よりは小さな浴槽ですが、それでもかなりの人数が入れそうな大きな湯船。
女湯との境にはステンドグラスがはめられていますが、これがまたいい雰囲気です。
こちらも抹茶色の硫黄泉。
露天風呂はありません。
お湯も熱めですが、一度入ればしっくりと体に馴染む温度。
お湯が熱いため、浴槽の横で寝そべりたくなるのは分かりますが、
藤島旅館は混雑することも珍しくないので、寝そべりは厳禁とされています。
浴槽の縁には重曹分なのか析出物がこってり。
トゲトゲしていて、座ると結構痛いです。
規模的には300円浴場のほうがメイン感がありますが、あまり混まずに藤島旅館のお湯をアメニティ付きで堪能したい人には500円浴場がオススメ。
6.温泉分析書の説明
溶存物質が1000mgを超えると、単純温泉にはならず、陽イオン-陰イオンの順に20%超のものを並べて名前をつけます。こちらは1052mgで、陽イオンはナトリウム、陰イオンは炭酸水素イオンと硫酸イオンが20%を超えるので、ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉となります。
また特殊成分として総硫黄(チオ硫酸イオン、硫化水素イオン、遊離硫化水素の合計)を2mg以上含むと硫黄泉となりますが、こちらは6mg含むため、含硫黄とつきます。
以上より、含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。