金湯館
基本情報
【日帰り入浴時間】
10:00〜16:00頃
【日帰り入浴】
700円
【露天風呂】
なし
【お風呂の数】
内湯(男1・女1)
【客室数】
15室
【公式HP】
https://www.kirizumikintokan.com/
【個人的オススメ度】
★★★★★
住所・電話番号
【住所】
【電話番号】
027-395-3851
泉質
■源泉
入之湯
■泉質
カルシウム-硫酸塩泉(石膏泉)
■温度
38.9度
■pH値
8.2
■成分総計
1830mg
霧積温泉ってこんなところ
霧積(きりづみ)温泉は群馬県は安中市にある温泉。開湯は鎌倉時代の1200年代と言われる古い温泉。京を追われた武士の愛犬が発見したことから、犬の湯又は入の湯と言われ、近郷の人々に利用されていました。
群馬県もかなり山奥にある温泉ですが、明治時代になると軽井沢とともに避暑地として開発され、別荘も多く建てられましたが、1896年の山津波で多くの死傷者を出して壊滅。金湯館のみが被害を免れました。現在はかつての面影もなく、秘湯の一軒宿になっています。
宿までは車で行けません
金湯館(きんとうかん)は霧積温泉の一軒宿。かつてはきりづみ館という旅館もありましたが2012年に廃業してしまいました。
金湯館は、令和のこの時代でも自家用車で行くことのできない秘湯中の秘湯。県道終点から200mの高低差を30分かけて歩く必要があります。徒歩でしか行けない温泉は群馬県でも唯一。
坂道の名前はその名もホイホイ坂。
別荘地として栄えた明治時代に、駕籠の担ぎ手がホイホイと坂を登ったことから、こういう名前になったんだそう。
宿の車だけは林道に入れるため、宿泊であれば30分歩かずとも送迎してもらえます。この日は宿泊したので、ホイホイ坂は登らず車で送迎してもらいました。日帰り入浴の場合は歩かねばなりません。
車用のゲートはこちら。一般車は入れないように閉鎖されていますが、宿の車はこれを手動で開けて進みます。
車道は徒歩ルートより三倍ほど距離があるそうで、車で宿まではだいたい15分ほど。宿泊でも10人に1人くらいは歩く人がいるそうです。
道路は急で細いのですが、宿のバンはスピードを出しながらなんなく進んでいきます。
森の中に埋もれるようにたたずむ旅館です
ようやく宿らしき赤い屋根が見えてきました。
鬱蒼とした森の中に溶け込むように佇む旅館。
かつてここに一大別荘地があったというのは、とても信じられません。
車はここまで。手書きの文字がちょっとほっこりします。
ここから赤い手すりに沿って川沿いへと徒歩でちょっと下ります。
距離は短いですがちょっと急です。
川が見えてきました。
本館は明治の建物!あの伊藤博文も!?
こちらがお宿。山奥の秘湯にふさわしいビジュアル。
昭和56年に林道が開通するまでは、電気も電話なかったそうで、まさに群馬最後の秘境です。
中央が本館で建物はなんと明治時代のまま。
なんとあの伊藤博文もここに宿泊し、この宿で明治憲法を起草しています。見た目からは想像できないすごい歴史のある旅館です。
ちなみに伊藤博文はここまで当然歩くわけもなく、駕籠に乗って来たそうです。
さっそく館内へ。山小屋のような感じ。
とにかく物が多くてゴチャゴチャしています。
明治の建物はやはり趣が違います。
日帰り入浴料は700円。時間はだいたい16時頃まで。
日帰り入浴は徒歩になるため、日が暮れる時間はアウトです。
タオルは選べるカラーで300円です。
本館を探検。二階は現在も客室として使われていて、鍵もかからない古いタイプのお部屋です。明治憲法起草の間もこのあたりか?
お風呂は宿の下流側にあります。これまた古そうな木造の廊下を進みます。
ダンジョンに続いてそうな雰囲気があります。
本館から続く廊下もおそらく明治時代のまま。
お風呂へ到着。右側が女湯、廊下奥が男湯です。
水車の前に湯小屋があります
湯小屋を外から見るとこんな感じ。本当に森の中に埋もれるように建っています。
いい感じに写るように一句書かれた石が置いてありました。
「霧積の 霧に曇りし 月夜かな」
お風呂の前からはこんな立派な水車が見えます。
かつてはこれで自家発電を行っていたそう。
蛇口は温泉です。
沢の水垂れ流しの洗面器もあり、本当に山の宿という感じです。
いよいよ温泉へ。こちらが脱衣所。
露天風呂なし レトロなタイルの浴室です
こちらが温泉。タイル造りのレトロなお風呂。
露天風呂はなく、内湯一本勝負。
湯小屋の周りは山林なので、窓からはこんなにも美しく緑が見えます。
透明度の高いお湯。泉質はカルシウム-硫酸塩泉。いわゆる石膏泉ですが、成分の90%以上が石膏を占める純度の高い石膏泉です。
石膏泉は痛みを和らげる鎮静作用があります。
湯船に浸かれば、ザバーと大量にお湯が溢れ出し、源泉かけ流しであることがわかります。浴槽の外で寝そべれるくらいのオーバフロー。
これもすごいのですが、
絶妙な温度のぬる湯が最高
源泉温度が38度というぬるめの湯加減。
ぬるいという程でもなく熱くもなく、これが超気持ちいい。
入っいるとじっくりと温まってくるすばらしい温泉です。
特徴はまだまだあります。何よりもすごいのはその泡付き。
炭酸泉ではないのに、じっくりお湯につかっていると、微細な泡が体中にびっしり。湯口も少し泡泡しているのがわかりますか?
これはお湯の鮮度がとても良い証拠。湯口の付近が特に泡付きがすごいので、入るなら湯口の真ん前がオススメ。
常連と思われるおじさんは、真っ先に湯口の目の前に陣取っていました。
カランの設備は貧弱ですが、山奥なのでやむなしです。
夕食の天ぷらすごいです
ちなみに夕食はこんな感じ。とにかく量の多い天ぷらと群馬らしい刺身こんにゃく、高野豆腐の煮物、ワラビマヨネーズ。
天ぷらはキノコやよくわからない葉っぱ類。
そして最後の汁物はすごい量の豚汁。
こんな具だくさんなのは初めて。
鮎も出てきます。
こんな山奥で露天風呂もないのですが、この日もお客さんがたくさん。宿は満室に近く、お風呂には常に人がいました。
多くの人が訪れる人気の理由はこの温泉でしょう。
これは誰もいない早朝を狙って撮影したもの。
パット見なんの特徴もない透明お湯で、露天風呂もなくつまらない温泉に見えるのですが、一度入るとやみつきになります。
徒歩30分でなければ頻繁に訪れたいくらいです。
温泉分析書 成分の9割以上は石膏です
溶存物質が1000mgを超えると、単純温泉にはならず、陽イオン-陰イオンの順に20%超のものを並べて名前をつけます。
こちらは1820mgで1000mgを超えます。陽イオンはカルシウムイオン、陰イオンは硫酸イオンが20%を超えるので、カルシウム-硫酸塩泉となります。旧泉質名では純石膏泉。