晴嵐荘
基本情報
【日帰り入浴時間】
14:00〜16:00
【日帰り入浴】
500円
【露天風呂】
野湯あり
【お風呂の数】
内湯(男1・女1)
【公式HP】
【個人的オススメ度】
★★★★★
住所・電話番号
【住所】
【電話番号】
090-5535-3667
泉質
■源泉
湯俣温泉
■泉質
単純硫黄温泉(硫化水素型)
(単純硫化水素泉)
■温度
55.3度
■pH値
6.3
■成分総計
1121mg
湯俣温泉ってこんなところ
湯俣温泉は長野県は大町市にある温泉。北アルプスのど真ん中にある温泉で、高瀬渓谷の最上流部にあります。
登山のメッカである表銀座コースと裏銀座コースに挟まれた場所にあり、槍ヶ岳や燕岳、鷲羽岳など名だたる名峰に囲まれた険しい地形。当然車では行けず、片道徒歩三時間以上を要します。
湯俣川周辺は源泉が湧き出しており、温泉成分のかたまりである噴湯丘を中心として、あちらこちらで超ワイルドな野湯を楽しめる温泉好き憧れの温泉です。
宿は晴嵐荘と湯俣山荘の二件です。
登山口まで一般車は入れません
湯俣温泉まではかなりの道のり。まずは七倉ダムの先にある七倉山荘前に車を停めます。ここは烏帽子岳や裏銀座縦走コースの起点であることから、結構な数の車が停まっています。
一般車はここから先には行けず、登山口である高瀬ダムまではタクシーに乗るか歩く必要があります。
ちなみに歩いた場合は、二時間ほどかかりますが、タクシーなら20分ほどなので、タクシーに乗ったほうが無難です。
タクシーは事前に予約するのが確実ですが、予約しなくても常に何台かは待機していて、高瀬ダムまではピストン輸送しています。
なので、予約しなくてもすぐに乗ることができます。
料金は何人に乗るかにも寄りますが、2500円くらい。
今回は、知らない方のグループと乗り合いがうまく行ったので、1人500円くらいで済みました。
見事なエメラルドグリーンのダム湖
それでは出発。しばらくすると、巨大なロックフィル式ダムが登場。これが高瀬ダムで、この上が登山口です。
道路はなんと、このダムの斜面をジグザグに登るように作られています。これはすごい。。
高瀬ダムの上部に到着。タクシーはここまでです。
ダム湖は見事なエメラルドグリーン色。普通はこんな色にならないと思いますが、硫黄の超細かい粒子が混ざることで、このような翡翠色になると言われています。(いろいろ説があるようでよくわかっていないようです。)
正面は烏帽子岳方面。
最初は車道歩きです
いよいよ徒歩開始!最初に現れるのは長いトンネル。
内部は照明もなく真っ暗で、とてもヒンヤリ。
しかもこのトンネル長い。抜けるまで10分くらいかかります。
なのでヘッドライトなんかがあると良いです。
トンネルを抜けるとすぐに次のトンネルが現れます。
長さは先程よりも短いですが、途中で曲がっているため、出口の明かりも見えず本当に真っ暗。照明なしでは無理です。
しばらく林道のような感じの歩き。
ふと振り向けば信じられないくらいの絶景が広がります。
奥に見える山は鉢の木岳や船窪岳。
北アルプスらしい景色に感動。
三ツ岳方面?山頂付近はもう色づいていました。
エメラルドグリーンとのコントラストが美しすぎます。
さらに林道を進みます。
基本的にアップダウンはほとんどない平坦な道です。
3つ目のトンネル。車道のトンネルはこれで最後です。
トンネルを抜けると、東京電力の発電所。改良工事中みたいでした。
木道が続く歩きやすい登山道
ここを過ぎるとやがて林道終点です。登山口からここまでおよそ1時間ほほど。ここまでは登山装備がなくても来れます。
湯俣温泉や工事の関係者はここまで車で来れるようで、たくさんの車が停まっていました。
ここからは車は一切入れない登山道ですが、よく整備されていて、木道を歩いていきます。
登山道は高瀬川に沿って作られており、基本的に高低差はほぼなくなだらかな道。
登山初級者でも全然大丈夫です。
所々、川沿いが崩落している箇所などは、高巻くルートもあります。
途中、上高地のようなこんな美しい所も。
しばらく進むと避難小屋が現れます。
名無避難小屋という名前の小屋。ここまで登山口から二時間かからないくらい。
ここで初めて晴嵐荘の看板が登場。あと50分ほどです。
今までは木道メインでしたが、このあたりから少し変化に富んだ道。このあたりは上から崩れたのか、沢のように大量の岩が転がっていました。
ぬかるんでいる所にもしっかり木道。
登山道にもトンネルが一箇所だけあります。
このあたりから、高瀬川の渓谷が近くなり、ゴオーという音が聞こえてきます。それとともにほのかに硫黄の香りもちょっとしてきました。
冷たい沢もあります。所々に工事用の道路があり、登山道と交差していますが、道路に入らないように注意して進みます。
それにしても、ここまでどうやって重機を?
途中で見つけたホコリタケ。
キノコを軽く叩くと、すさまじい煙が出ます。これは胞子。
更に進んでいきます。
少し開けてきます。ここまで来ればもう少し。
硫黄の香りも強くなってきました。
ようやく見えてきました晴嵐荘。
晴嵐荘の手前の道が一番危ない感じで、所々切れ落ちている箇所もあるので慎重に進みます。
恐怖のジップライン登場
野湯の前にまずは宿へ向かいます。
宿までは吊橋を渡る必要があるのですが、
えっ!?なんと吊橋の半分はジップラインになっていました。
湯俣川にかかるこの吊橋は大雨で何度も崩落。昨年までは橋がなく、晴嵐荘までは渡渉を余儀なくされていました。
そんなわけで2022年はほとんど宿を開けていなかったようです。
2023年にようやく半分は吊橋、半分はジップラインという形で復活。
でもこのジップラインかなーり怖いです。
右のワイヤーが荷物専用、左のワイヤーが人専用です。
乗り方が書いてあります。
カラビナで固定するだけなのでスリル満点。中程までは重力で一気に駆け下りますのが、そこからは手でロープを手繰り寄せて進ませます。
荷物もこれにくくるだけなので、下手したら川にそのまま落下です。正直これが一番ヒヤヒヤしたかも。
つり橋の先がお宿です
恐怖のジップラインを渡ると普通の吊橋です。
ようやく晴嵐荘に到着。宿の前の河原はテントエリアになっています。
こちらが晴嵐荘。山小屋ですがちょっとオシャレな感じにしようと頑張ってます。宿泊は基本的に相部屋ですが、プラス1人2000円払えば個室もあります。
宿の前にあるタープでは、沢水で冷やされたビールや三ツ矢サイダー、アクエリアスなどの飲み物が買えます。値段は500円〜700円で高いです。
自家製の梅ソーダもありました。
またランチもやっているようで、こんな山奥で本格魯肉飯が頂けるようです。
山小屋風の館内
宿に入るとすぐに食堂になっています。日帰り入浴料は500円。
時間は14時から16時までと短いです。
お風呂入口。
脱衣所。カゴが置かれただけのシンプルな脱衣所。
ランプが灯された風情ある内湯です
こちらがお風呂。照明はなく、ランプが灯されています。
これがまたいい雰囲気。
ランプだけのなので全体的に薄暗いです。
そこに乳白色の硫黄泉がよく映えます。
泉質は単純硫黄温泉。お湯は少し熱めでした。
湯船の淵はキレイなほどに緑で彩られています。
硫黄や酸性泉などでたまに見られる藻類でしょうか。
宿の外には露天風呂らしきものがありましたが、現在は使われていないようで、とても入れそうな感じではありませんでした。
湯俣温泉の真髄は野湯。晴嵐荘はここまでにして、野湯へ向かいます。先程のジップライン吊橋を戻り、登山道へ。
晴嵐荘を右手に見て、登山道を直進します。
すると、5分ほどで取水堰の建物が見えます。
取水堰の階段を登り、
建物の横をすり抜けるようにして進みます。
川の色がなんだかすごいことになってきました。
この黒い色が温泉が混ざっている部分。
普段は水色の美しい色なのですが、この日は硫黄の気まぐれなのか、
真っ黒です。
すると見えてきました野湯エリア。
ですがここは左の湯俣川と右の水俣川が合流するポイント。
直進はできないので、登山道は一旦左へ向かいます。
水俣川には橋がかけられています。登山道は対岸の真ん中にある岩山部分をまたぐようにして、湯俣川の野湯エリアに繋がっています。
右に曲がると吊橋です。左側のルートに槍ヶ岳と書いてありましたが、このルートは地図にも記載のない道。槍ヶ岳の北鎌尾根を突き上げるルートで冬山登山に利用されるらしいです。
こちらが水俣川にかかる吊橋。これがないと野湯エリアにはたどり着けません。
この吊橋もかつて、何度となく崩れそうになっていて、野湯へ向かう最大の懸念となっていましたが、2023年9月現在は何の問題もなく渡れるように直されていました。
というのも、この吊橋は野湯だけではなく、伊藤新道という三俣蓮華岳への最短登山コースにもつながっています。
伊藤新道は長らく荒れ果て、地図からも消えた道だったのですが、2023年8月に40年ぶりに復活。そんなわけで、荒れ果てていたこの橋もキレイにされたのだと思います。
湯俣温泉最大の難所
吊橋を渡るとこんな感じで、水俣川左岸を沿いを岩山へ向かいます。
岩山には小さな祠があります。そして見えました。湯俣川の野湯ゾーン。
ここからが最大の難所。きつい岩の崖をロープを伝って降りていきます。
下から見上げるとこんな感じ。
いよいよ到着野湯ゾーン
ついに到着。晴嵐荘からここまで約20分ほど。
ここからは河原を上流へと歩いていきます。
それにしても、現実離れしたすごい景色。ここまで来た甲斐があります。
河原の石伝いを歩いていきます。
誰もいないかと思っていましたが、吊橋の復旧や伊藤新道の開通もあって、湯俣温泉は結構盛況。野湯エリアにも男子高校生?みたいな集団や、若い女性の方など様々な人がいました。
もうこのあたりのあちこちから源泉が湧いています。
熱湯に気をつけながら進みます。
石の周りが硫黄で黄色くなっているところが源泉。
試しに触ってみると超熱い!ほぼ熱湯です。うかつに触ると火傷しそうになります。こんなところはとてもじゃないけど入れません。
とりあえず適温の場所は探しはあとにして、噴湯丘を目指します。
お湯はこんなふうに激しく噴出しているところもありました。
まさに大自然。自然のパワーを感じます。
湯俣温泉は硫黄泉ですが、硫黄の野湯にありがちな硫化水素ガスの危険性がないため、安全に楽しむことができます。
これも湯俣温泉の魅力。
噴湯丘へは川を渡る必要があります
対岸に小さく噴湯丘が見えてきました。
対岸にありますが、ここには橋などはないため、どこかで川を渡る必要があります。
とりあえずこのあたりで渡ることに。このくらいの水量ならなんとか膝下くらいで渡渉できましたが、これ以上増水すると渡るのは無理かも。ここはあくまで自己判断で。
実際、皆さん噴湯丘を目指していましたが、ここで諦めるは人もちらほら。ですが男子高校生の集団は難なく渡っていました。
えっ何この形!湯俣のシンボル噴湯丘
川を渡ってしばらくそのまま素足で歩きます。
するとついに見えてきました噴湯丘!
こちらが湯俣温泉の代名詞とも言える噴湯丘(ふんとうきゅう)
国の天然記念物に指定されており、その正体は温泉成分である石灰の固まり。球状石灰岩とも呼ばれる珍しい自然の造形です。
それにしても、こんな景色の中に真っ白の塊があるのはかなり異質。
湯けむりの中に佇む姿は神々しさすら感じます。まさに温泉の神様。
ちなみにこのあたりは湯泥だらけで、適温の湯船になりそうな所はありませんでした。ぬかるみにはまるとこうなります。
天然記念物なので触らないようにしましょう。
あと、噴湯丘の周囲だけは硫化水素ガスが時たまキツイときがあったので、あまり長居はしないほうがよさそう。
先程の男子高校生達はここでかなり遊んでました。
噴湯丘を見学したら、いよいよ適温の野湯探し。
狙い目なのは熱々の源泉が川に注がれる合流ポイント。
手を入れてみて適温を発見したので入って見ました。
ですが、なかなか適温の場所が難しい。
くそ熱いか冷たいかのどっちか。
なかなか適温は難しい
四苦八苦していると急流に流されそうになります。
ちなみに裸になって全身お湯に浸かろうとしていたのは、我々と男子高校生の二組だけ。ほかは足だけで楽しんだり、見学だけして帰っていました。
川の底は砂になっていますが、これも油断できません。
砂の中も熱いところがあり、足を突っ込むと火傷しそうなるポイントも。それでもなんとか自分なりのスポットを見つけて楽しみます。
いろいろ探しましたが適温はなかなかありません。
そこで、男子高校生達がせっせとスコップで掘削していた湯船を利用させてもらいました。川の水を取り込み、見た目は上出来ですが、ほとんどが熱湯に近い温度でこれもなかなか厳しい。
ですが、川との間だけは適温で、ここが正直、一番気持ち良いスポットでした。
この日は珍しくお湯は黒いですが、これが普段の水色ならどれだけキレイなことか。
ですが、増水したら絶対に入れないので、この野湯エリアは運ゲーなところもあります。入れるだけでもありがたい。
晴嵐荘名物!噴湯丘カレー
ちなみにこの日は宿泊したのですが、宿の夕食はこんな感じ。
カレーとポテトサラダとオニオンスープ。チーズケーキみたいなアイスもつきます。
この形どこかで見たことありませんか?
先程見た噴湯丘の形にご飯が盛られています。
よくこんな形に盛ったなと関心してしまいます。
このカレーは晴嵐荘のオーナーが研究を重ねたスパイスカレー。
結構辛くて本格的です。
ちなみに湯俣温泉にはもう一件、湯俣山荘という宿があります。
晴嵐荘へ向かう吊橋の手前にあります。ここも長らく廃墟だったのですが、2023年9月にリニューアルオープン。
伊藤新道に、吊橋の復旧といい、湯俣山荘の復活といい、今年は湯俣温泉に明るいニュースが多く、結構盛り上がっています。そんなわけで、お客さんも全体的に多く、晴嵐荘も満室に近い感じ。
湯俣山荘の中を少しのぞかせてもらいましたが、めっちゃオシャレ。
残念ながら温泉はなく、シャワーのみだそうですが、温泉は野湯があるので、こんなにキレイなら、湯俣山荘に泊まるのも有りだと思います。
湯俣温泉は全ての温泉好きにオススメしたい超ワイルド野湯が魅力。
アクセスはなかなか大変ですが、人生で一度は訪れたい温泉です。
この景色と体験は忘れられないものになること間違いなし。
温泉分析書 硫黄の他に食塩と重曹も含みます
溶存物質が1000mg以下の場合は単純温泉となります。
こちらは986mgのため、単純温泉です。
単純温泉と言っても何も入っていないわけではありません。
もし1000mgを超えていればナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉となる温泉で、食塩と重曹が主成分。
その他に総硫黄(硫化水素イオン、チオ硫酸イオン、遊離硫化水素の合計)が2mg以上で硫黄泉となりますが、こちら12mg。
すべてガス成分として含まれています。
以上より単純硫黄温泉です。