増富佼成寮
1.基本情報
【日帰り入浴時間】
11:00〜19:00
【日帰り入浴料】
700円
【露天風呂】
なし
【お風呂の数】
内湯(男1・女1)
【客室数】
10室
【公式HP】
https://masutomi.koseilifeplan.life/
【個人的オススメ度】
★★★★★
2.住所・電話番号
【住所】
【電話番号】
0551-45-0062
3.泉質
■源泉
立正佼成会増富佼成寮
■泉質
ナトリウム-塩化物泉
(食塩泉)
■温度
49.2度
■pH値
6.6
■成分総計
12064mg
4.増富温泉について
増富温泉は山梨県は北杜市にある温泉。百名山である瑞牆山(みずかみやま)の登山口にも近い場所。武田信玄による金山開発中に発見されたと伝えられています。
増富近郊は世界でも有数のラジウム含有量を誇ると言われ、秋田の玉川温泉などと並び、癌に効能があるのではないかと言われています。そのため、多くの癌患者の方や療養目的で訪れる方が多く、観光地的な雰囲気はありません。最も有名な不老閣は予約を取るのもの困難です。
そんなわけで日帰り入浴にはかなり厳しく、ほとんどの旅館で不可。安定的に日帰り入浴可能なのは一件のみです。
5.外観・館内・お風呂
増富佼成(こうせい)寮は、増富温泉に入ると最初に現れる旅館。増富温泉の中心部からは少し離れています。
増富温泉は日帰り入浴にはかなりケチ。外湯はおろか、日帰り入浴施設もありません。これでは地元の方だって温泉を利用しにくいのではと思ってしまいますが、こちらの旅館だけは、日帰り入浴歓迎。
名前のとおり、もとは宗教法人立正佼成会の寮であった施設。
現在は、宗教法人が直接経営しているわけではなく、名前以外に宗教的な感を受けるもは全くありませんでした。もちろん勧誘なんてものはなし。
日帰り入浴料は700円。
ご主人が受付。夫婦で経営されているようですが、この方達も全然そんな感じはありません。
お風呂は玄関からは直進してすぐのところ。
脱衣所。カゴはなく、ロッカー式。
お風呂。湯船にはいかにも効きそうな、黄褐色の濃厚なお湯。
こちらは大きい方のお風呂で、日によって入れ替わるわけではなく、宿泊者に男性が多ければ、男湯となり、女性が多ければ女湯となります。
常連と思われるおじさんが入ってきて、「登山の方ですか?」と聞かれます。
増富温泉に私みたいな若い人が来るのは珍しいようで、登山客だと思われたよう。純粋に温泉目的で来た旨を伝えると、増富温泉についていろいろと教えてくれました。
何度も増富温泉に来ているそうで、こうしていろんな方と話をしているのだそう。この方が話した人のほとんどは癌患者の方で、みなさんすがるような思いでここへ来ているのだそう。
「ガス(ラドン)を吸うだけでも効能があるんだよ」とのことで、積極的に湯口の前で吸入すると良いとのこと。
増富温泉で湯治をして、前立腺ガンの腫瘍がなくなっとの話も実際に聞いたそうです。
なんでも、増富温泉の集落の方にガンの方はいないと言っていた方もいたそうです。
この方は癌ではないのだそうですが、ガン予防を目的として、増富温泉によく訪れるのだそう。奥さんが腎臓を患ったため、今回はその湯治のため訪れ、4泊するのだと言っていました。
「ここ宗教法人の施設だったからちょっと嫌だったんだけどね、でも全然勧誘とかないし、何よりもここ安いでしょ 部屋も広いし」
確かにこちらの旅館は増富温泉にしては珍しく予約が取りやすい。
部屋も異様に広いのと、一泊素泊まりで税込5000円ピッタリとかなりやすいんです。増富温泉では穴場。
ちなみに夕食に弁当を付けることもできますが、美味しくないそうです。なので、近くのスーパーで買ってきて素泊まりする人がほとんどなんだそう。
すると、おじさんおもむろに湯口の管をお湯の中から引っ張り出し、飲み始めました。飲んでも効果があるそうで、ペットボトルに入れて持ち帰り、ご飯を炊いたりする人もいるそうです。
かなりしょっぱく、後味に炭酸と鉄の味がします。味的にゴクゴクとは飲めません。
ちなみにあとで、温泉分析書を確認したところ、ヒ素が5mgとまあまあ多く含んでいましたので、多量に飲むのはやめたほうがいいです。
お湯は食塩が主成分で、その他、二酸化炭素も多く含むため、シュワシュワ感があります。湯口からもかなりシュワシュワ。
鉄分の含有量も多いため、キシキシ感と金気臭。
かなり個性的なお湯。
温度は38度〜39度に保たれていて、ぬるめの温泉ですが、
おじさんによると、今日はいつもより熱いとのこと。
成分総計はなんと1万2000mgとかなり濃い温泉です。
ところが泉質名にするとただの食塩泉。
温泉分析書には含二酸化炭素食塩泉とありましたが、これは間違い。二酸化炭素は1000mg以上含まれていないと、泉質名になりません。
こちらは、763mgとかなり多めに二酸化炭素が含まれていますが、基準には届かず。
その他、鉄分を20mg以上含むと鉄泉になりますが、こちらは7.8mg。結構な量は含んでいますが、基準値には届かず。
付着した温泉成分は月一回削っているそうですが、それでもこれだけの成分が付着しています。
肝心のラジウムは3.2百億分の1キュリー。
放射能泉の基準値は30百億分の一キュリーなので、放射能泉には届きません。ちなみに同じくラジウムで有名な新潟の村杉温泉は、136百億分の一キュリーと、ラジウムの量で言えば比較になりません。
増富温泉は各旅館で源泉が違うため、最もラジウムが強いとされる不老閣は放射能泉なのかもしれませんが、こちらの旅館と金泉閣は少なくとも放射能泉ではありませんでした。
なんですが、ここの温泉は本当に不思議。
じっくり15分ほどぬる湯に入っていると、首元や腕周り、足回りなどが明らかに熱くなっている感じがします。
例えるなら、焚き火にでもあたっているかのような熱さ。
ぬる湯に入っているのはずなのに不思議な感覚。これは他の増富温泉の旅館でも一緒でした。二酸化炭素泉は血行を促進するのですが、それにしては熱すぎです。
ガンに効くというのは、必ずしもラジウムだけではなく、この複雑な泉質がなせるわざなのかもしれません。
この日は私も素泊まりで宿泊したのですが、ぬる湯の気持ちよさと体が熱くなる感覚がクセになり、五回もお風呂に入ってしまいました。
癌に効くと言われているのは知っていましたが、やはり増富温泉おそるべし。確かに泊まりで何度も楽しみたいレベルです。
増富佼成寮は日帰り入浴できる貴重な存在なので、このすごいお湯を一度経験してみては。
6.温泉分析書の説明
溶存物質が1000mgを超えると、単純温泉にはならず、陽イオン-陰イオンの順に20%超のものを並べて名前をつけます。
こちらは12064mgで1000mgをはるかに超えます。陽イオンはナトリウム、陰イオンは塩化物イオンが20%を超えるので、ナトリウム-塩化物泉となります。旧泉質名では食塩泉。