福一
1.基本情報
【日帰り入浴時間】
14時〜17時
【日帰り入浴料金】
2000円
【タオル】
入浴料に含まれる
【露天風呂】
あり
【お風呂の数】
内湯露天(男1・女1)
【客室数】
83室
【公式HP】
【個人的オススメ度】
★★★★☆
2.住所・電話番号
【住所】
【電話番号】
0279-20-3000
3.泉質
【黄金の湯】
■源泉
総合湯(混合泉)
■泉質
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉
(含食塩重炭酸土類石膏泉)
■温度
41.6度
■pH値
6.3
■成分総計
1390mg
【白銀の湯】
■源泉
西沢の湯1号・3号・4号
■泉質
2条鉱泉(メタケイ酸の項目により温泉に該当)
■温度
15.5度
■pH値
6.0
■成分総計
370mg
4.伊香保温泉について
開湯時期は定かではありませんが、万葉集にその名が登場することから、少なくとも1300年の歴史を有する古い温泉です。
現在の伊香保温泉の原型が出来たのは戦国時代。長篠の戦い敗れた武田勝頼が負傷した兵の治療のため、伊香保温泉の整備を行い、この時に石段街も築かれました。
伊香保温泉は金泉と呼ばれる黄金色の特徴的な色のお湯ですが、金泉は老舗旅館しか引湯できる権利がありません。その他の旅館は白銀の湯という無色透明の別の源泉からお湯を引いているため、伊香保温泉は全く異なる二種類の泉質からなります。
5.外観・館内・お風呂
福一は石段街の一番上に位置する大型旅館。
創業は440年と伊香保御三家の木暮、岸権、千明に肩を並べる老舗旅館です。見るからに高級そうな外観ですが、宿泊すれば3万円近くする伊香保屈指の高級旅館でもあります。
そんな超がつく高級旅館ですが、なんと日帰り入浴可能です。
巨大な旅館の建物は斜面に沿って建てられていて、一番上の千樹という建物が石段街に面しています。表玄関は下側の万葉という建物。
日帰り入浴の場合、宿の駐車場は利用できないため、石段街に面する裏玄関から入ることにします。
石段街から見ると存在感は薄めですが、裏玄関には「日帰り入浴承ります」の文字。
ちょっと前までは、コロナ禍で長らく日帰り入浴を休業。
宿のHPにもまだ日帰り入浴休止中と書いてありましたが、ここ最近再開したようです。
日帰り入浴受付は裏口にはなく、表玄関がある万葉棟まで歩かねばなりません。ここからは館内を逆走するような形で、ロビーへ向かいます。
さすがは大型高級旅館。館内も立派で広い。
千樹棟のロビーのような一角。
ここからエレベーターで、万葉棟につながる渡り廊下がある階まで降ります。
広い館内を歩き回り、ようやく万葉棟のロビーに到着。
ひやー 豪華。
日帰り入浴でフラッと入るには場違いな雰囲気で、早くもびびります。
大きな売店。
フロントもさすがの規模。日帰り入浴をお願いすると、快くオッケイ。ですが日帰り入浴料はなんと2000円!高けえ!!
伊香保で最も高い日帰り入浴料金です。
散歩がてら正面玄関から出て、宿の全容を見ることに。
ロビーのすぐ下の階は大きな駐車場になっていました。
これだけ大きな駐車場ですが、日帰り入浴では利用不可。
このアングルは表玄関から撮影したもの。写っているのは万葉棟で、石段街に面する千樹棟は下からは見えません。
1階っぽいところが駐車場。
真ん中辺りの木がふさふさしているところは、福一で最もランクの高い諧暢楼(かいちょうろう)という客室。ここの宿泊料は目玉が飛び出す金額です。
ロビーに飾られていた福一のかつての姿。
江戸時代には、伊香保温泉のお湯の権利を独占する14の大家に名を連ねていた由緒正しき旅館。
代々福田家が受け継ぎ、昔は福市楼という名前でした。
大正時代の大火でかつての建物は焼失。
近代的な建物の今、かつての面影はありません。
ここらで、お風呂へと向かいます。
ロビーからまた戻るようにエレベーターへ。
万葉棟の2階がお風呂エリア。
お風呂入口へ到着。
ちょっとフライングでついてしまったので、まだお掃除中だったのでちょっと待たせてもらうことに。
掃除が終わると、ご丁寧に「ご準備できましたのでどうぞお入り下さい」とわざわざお声掛けいただきました。さすがは高級旅館。
それではお風呂へ。
脱衣所もすごい。。あまりにもキレイでびびります。今まで見たことのないタイプです。これが3万円の旅館かとひとりで納得。
バスタオルはこれまた見たことのない専用の棚にビシッと格納されていて、使い放題です。
アメニティはもちろん完璧。
見てください。このラインナップ。
ボディソープやシャンプーなんかも自分の好みのものを選べます。
ロッカーも完璧ですね。
こちらが大浴場。大きく取られた窓からは緑いっぱい。
浴槽は2つ。手前は黄金(こがね)の湯で奥が白銀(しろがね)の湯です。
黄金の湯は伊香保温泉に古くから源泉。
伊香保温泉は石段街の下に温泉の管があり、ここから各旅館へ配湯それていますが、配湯量は小間口の大きさで決まります。
黄金の湯は、伊香保で最も老舗の木暮(こぐれ)、千明(ちぎら)、岸権(きしごん)の3件の旅館でその8割を独占。残りを石段街の旅館で分け合っています。古くから、小間口の新設は許されない決まりで、新参者の旅館は白銀の湯という平成になってから掘削された源泉しか使えません。
福一もそんな貴重な黄金の湯を引ける旅館のひとつ。
お湯の量こそ、御三家の旅館にはかないませんが、福一の利点はなんと言っても、石段街の最上部に位置するということ。
ということは、その分源泉も幾分新鮮なはずです。
お湯の色も心なしか、ちょっと濃い濁りに感じました。
濃厚なにごり湯はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉という複雑な泉質。石膏や食塩、重曹など様々な成分を含むほか、鉄分の影響でこのような赤茶色のお湯になります。
一方の白銀の湯は無色透明。源泉温度は15度と低く、沸かし湯です。
成分は薄いため、泉質名はつきませんが、ちゃんと温泉です。
続いて露天風呂へ。露天風呂から見える範囲に他の旅館はないので、見渡す限りの緑。
お湯は緑色ですが、黄金の湯のお風呂です。
おそらく、露天風呂は循環ろ過なので、赤茶色ではなくこのような色になるのではないかと思います。緑色の温泉は伊香保でもここだけでした。ちょっとぬるめで入りやすい。
福一は伊香保きっての老舗旅館であり、高級旅館です。
日帰り入浴できる旅館の中で、最もハイランクな宿。
料金は破格の値段ですが、その分日帰り入浴客には誰にも会いませんでしたので、この広い温泉を貸切に近い状態で楽しめました。
15時になると宿泊客で混み合いますので、日帰り入浴は14時台がオススメ。
まだまだあります 伊香保温泉
【伊香保温泉】日帰り入浴完全ガイド(温泉ソムリエのオススメ11選) - 大露天風呂の日記
6.温泉分析書の説明
【黄金の湯】
溶存物質が1000mgを超えると、単純温泉にはならず、陽イオン-陰イオンの順に20%超のものを並べて名前をつけます。こちらは1390mgで1000mgを超えます。陽イオンはカルシウムとナトリウム、陰イオンは硫酸塩イオン、炭酸水素イオン、塩化物イオンが20%を超えるので、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉となります。
また特殊成分として鉄分を20mg以上含むと含鉄泉となりますが、意外ににも7.3mgしか含まないため、含鉄泉にはなりません。
【白銀の湯】
鉱泉分析指針では、泉温が25度以上または溶存物質が1000mg以上で温泉になりますが、こちらは源泉温度が7度で冷たい鉱泉。溶存物質も370mgしかないため、鉱泉分析指針上の療養泉として泉質名がつく温泉になりません。
ただし、温泉法上の特定の成分を一定量含む場合には、泉質名はありませんが温泉として名乗れます。
メタケイ酸を50mg以上含むと温泉となりますが、こちらは66mg含むため、温泉としての基準はギリギリクリア。
この場合、「メタケイ酸の項目により、温泉法2条の温泉に該当」などと書かれます。