中屋旅館
1.入浴時間・料金・混雑度
○日帰り入浴時間 12:00〜19:00(土日祝のみ)
○日帰り入浴料金 1000円
○露天風呂 あり
○お風呂の数 内湯(男1・女1)
露天(男1・女1)
○客室数 13室
○タオル 入浴料に含まれる
○公式HP http://www.nakayaryokan.com/
○混雑度 ほとんど誰にも会わない
○個人的オススメ度 ★★★★☆
2.場所・電話番号
〇住所 神奈川県厚木市七沢2750
〇電話番号 046-248-0008
3.泉質
■源泉 中屋旅館
■泉質 不明
■温度 19.6度 pH10.1
■成分総計 239mg
4.七沢温泉について
七沢(ななさわ)温泉は神奈川県最高峰を抱く丹沢山地の麓に湧く温泉。温泉の歴史は江戸末期の1861年〜1863年頃と比較的新しく、明治初期には3件の旅館があり、現在は6件の旅館があります。
日帰り入浴には寛容で全ての旅館で可能です。
5.外観・館内・お風呂
中屋旅館はその名の通り七沢温泉の中心にある旅館。
七沢温泉は小さな温泉宿が点在していますが、温泉街的なものはなく、地味な印象。温泉を見下ろすように神奈川県の巨大なリハビリテーション病院がそびえています。
温泉の中心部は福元館を取り囲むように道路がサークル状になっていて、この一角に中屋旅館もあります。
創業は明治初期で、七沢温泉でも古参の旅館。
福元館もなかなかの趣ですが、大正時代に建てられた建物は七沢ナンバーワンの貫禄があります。
中屋旅館の日帰り入浴は基本的に土日祝日のみ。
以前にも日帰り入浴をアタックしたことがありますが、休館日でNG。平日でもオッケーな日もあるようなので、電話確認が確実です。
この日は金曜日でしたが、電話したところ、「今日は12時くらいから、露天風呂は15時くらいから入れます」とのこと。
満を持しての再訪です。
17時前でしたが、すっかり日も暮れてしまいました。
駐車場は宿の裏手にあります。写真では明るく撮れていますが、こらはカメラの性能で、実際はまっ暗に近い感じ。
ガラガラと引き戸を開けて入館。
館内もしっかり木造で、期待を裏切らない感じ。
神奈川県には箱根湯本に萬翠楼や環翠楼など、それはそれは格式高い、たいそう立派な木造旅館もありますが、こういう庶民的で古い木造旅館は神奈川県内ではそうそうお目にかかれません。
帳場は右手。入浴料は1000円で、ここは神奈川クオリティ。
タオルは入浴料に含まれます。
ロゴ入りです。
玄関入って、右手の廊下には座敷がずらっと続きます。
ここは食事処のようで、時間も時間でしたので夕食の準備をしているのが見えました。ちなみに七沢温泉は猪鍋が名物で、どこの旅館で猪鍋をウリにしています。
中屋旅館は内湯と露天風呂は別々の場所。
日帰り入浴では2箇所とも入浴可能です。
内湯は帳場からすぐですが、露天風呂は階段を登り、ちょっと高台の山側斜面にあります。
内湯の入口。男湯と女湯が向かい合うように並びます。
どちらも誰もいないようでしたが、ドアが完全オープン状態でちょっとびっくり。
脱衣所。ドライヤーは一個だけありました。
こちらが内湯。お風呂は脱衣所から一段低い位置にあり、階段を数段降りる感じになっています。
窓はありますが、確かすりガラスで景色はほとんどなし。
洗い場。鏡はなくこれも昭和な感じがします。
床は昭和のお風呂でよく目にするタイル張り。
青いタイルの壁に囲まれた浴室の一角には、なぜか植物が植えられています。景色は大してないのですが、この渋さには大満足です。
浴室は四人くらいサイズ。
温泉は岩組の湯口から滝のように流れ落ちています。
七沢温泉の源泉は湧出量が少ないので、循環濾過だと思います。
温泉分析書の掲示がなかったため、詳しい泉質は不明ですが、湯口のお湯はちょっとぬるぬる感あり。
おそらく、温泉法上の温泉には該当しないものの、強アルカリ性の鉱泉だと思われます。これは隣の玉川館とほぼ同じ泉質です。
岩組の湯口の反対側には蛇口が2つ。
試しに触っみると、左はやけどするレベルの激熱のお湯。
右はちょっと冷たく、かなりヌルヌルしたので、これが源泉そのままだと思います。冷たい鉱泉のため、お湯を加水して温度調節しているのだと思います。そのほか、ほんのわずかに硫黄の匂いも。
右の蛇口の源泉のヌルヌル加減はかなりのものでしたが、あとでお宿のHPを確認すると、pHはなんと10.1もあるそう。
トロミもすごく、ローションや化粧水も顔負けのお湯。
成分が薄く刺激が少ない分、肌が弱い方か敏感な方でも入れると思います。
温泉法上の温泉には該当しなくても、「温泉感」はかなりあります。
内湯の渋さとお湯の良さに満足して、露天風呂へ。
この階段を登り、二階へいきます。
当時の職人のこだわりを感じる歯車がはめられた廊下。
同じような意匠は、千と千尋の神隠しのモデルのは一つとされる、長野県渋温泉の金具屋の廊下でも見たことがあります。
しばらく廊下を進むと、突き当りに露天風呂への入り口が見えてきます。意外と立派な入口に期待が高まります。
露天風呂は一度外へ出ます。
暗くてちょっとわかりにくいですが、木造の湯小屋があり、右側が女湯、左側が男湯です。手前にはトイレ小屋もありました。
ドアを開けるとログハウス風の脱衣所。
こちらが露天風呂。カメラのフラッシュではなく、照明が強烈なので結構明るいです。周囲は林になっています。
日は暮れてしまいましたが、この雰囲気なら夜の方がより趣深い感じかも。
まず目に入るのは露天風呂に刺さるこの立派な和傘。
お茶席などで使われるアレで、正確には野点(のだて)傘と言います。露天風呂に野点傘があるのは初めて。
超高級旅館とかにはあるのかもしれませんが。
これがあるだけで、急激に雅な雰囲気になるから不思議。
温度は適温ですが、内湯よりはぬるぬる感はやや弱め。
お湯使いが違うだけで源泉は同じだと思います。
和傘の雰囲気もよく、温度も適温。終始誰にも会わなかったので、お風呂から出るのが惜しいくらいでした。
露天風呂には一応、洗い場も3つありました。
七沢温泉では福元館と双璧をなす老舗旅館。野点傘の露天風呂は珍しく、老舗の木造旅館が好きな方や、渋めのレトロ風呂が好きな方にオススメです。
6.温泉分析書の説明
温泉分析書の掲示がなかっため不明ですが、泉温25度以下で、溶存物質も1000mg以下、特殊成分も規定値に満たないため、温泉法上の「温泉」には該当しない鉱泉だと思います。
七沢温泉は成分は薄いのですが、強アルカリ性であることに特徴があります。ぬるすべ感は第一級の温泉と遜色ありません。