田村屋旅館
日帰り入浴時間 10:00〜16:00
日帰り入浴料金 800円
露天風呂 あり
お風呂の数 内湯露天(男1・女1)
タオル 200円(ロゴあり)
源泉 沼尻元湯
泉質 酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
(含硫黄酸性明礬緑礬泉)
温度 68.3度
成分総計 2761mg pH2.13
沼尻温泉(ぬまじり)は安達太良山の西側山麓に湧く温泉。温泉の歴史は古く豊臣秀吉の時代の文禄年間(1592〜1596)に発見されたと伝えられています。江戸時代には温泉の領有権を巡って会津藩と二本松藩が争ったほど。その後、会津藩に帰属が決定し湯小屋が築かれましたが、1900年の安達太良山の大噴火により被害を受けるなどして、1924年に現在の位置に移転しました。温泉は安達太良山の火口付近にある沼尻元湯の源泉から長大なパイプによって引湯されています。ちなみに沼尻元湯は毎分1万3400リットルと単独の源泉としては日本一の湧出量を誇ります。現在は3件の旅館があり、田村屋旅館のみ日帰り入浴可能です。
田村屋旅館は明治19年創業の沼尻温泉で最も歴史のある旅館。新型コロナの煽りを受け2年前に民事再生を申請していますが、きちんと営業されています。
もともと田村屋旅館は安達太良山の噴火口の沼ノ平近くの源泉付近にありました。安達太良山の大噴火の際は1年もの間休業を余儀なくされたそう。かつては火口に硫黄鉱山がありましたが、このときの大噴火で甚大な被害を受け、72名が亡くなっています。
平成16年まではかろうじて建物が残っていたようですが、台風により完全に倒壊。ちなみにこの源泉付近は沼尻元湯と呼ばれ、野湯ファンの間では垂涎の場所となっていますが、硫化水素濃度が極めて高く、1997年には付近で4名が亡くなる死亡事故も発生。野湯には入ってみたいですが、素人が容易に近づけるような場所ではありません。
玄関には硫黄採掘に使うと思われる箱が置いてありました。
入浴料800円を払います。
タオルは200円でロゴあり。
ロビー。ビニールシートがかぶせてある所は雨漏りでもしてるのでひょうか。
ロビーにたくさんあった植物。
浴室はフロントから真っ直ぐ廊下を進み、階段で二階へあがります。
二階のゲームコーナー。
日帰り入浴のお客様専用の休憩所もあり。中は畳の大広間でたくさんの地元の方?がくつろいでいらっしゃいました。
脱衣所。ドライヤーあり。
内湯。檜造りの湯船と浴室。
泉質は酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉でお経のような長い名前。pH2.13の強酸性のお湯で舐めると強烈に酸っぱい!まるでレモンを齧ったときのように、口に含んだ瞬間に唾液が出るレベル。金属の味も少しありますが、酸っぱさが全面に出ていてあまり気になりません。甘くない柑橘系のジュースのような爽やかさ。お湯は熱めです。
続いて露天風呂。露天風呂も檜です。お湯は熱め。
硫黄分もかなり含むのですが、不思議なことに硫黄独特のゆでたまご臭はほとんどありません。
沼尻温泉は泉質にかなり特徴があります。
【温泉分析書のみかた】
特筆すべきは水素イオンで、1mg以上で酸性泉となりますが、ここは7.9mgもあります。また総硫黄(分析書の硫化水素イオン、チオ硫酸イオン、遊離硫化水素の合計)が2mg以上で硫黄泉ですが、こちらは100mg以上と圧倒的。そのほんとが遊離硫化水素ですので、硫化水素型の硫黄泉となります。以上から温泉名の頭には特殊成分として酸性・含硫黄とつき、最後に(硫化水素型)とつきます。
成分総計が1000mgを超えますので、陽イオン-陰イオンの順に20%を超えるものを並べますが、アルミニウムが多く含まれている珍しいお湯。カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉となります。
合体して、酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)です。
アルミニウムやカルシウムが多すぎて、相対的にぎりぎり20%に届かないため、温泉名にはなりませんが、マグネシウムを多く含んでいるのも特徴的。マグネシウム泉は正苦味泉(せいくみせん)と呼ばれ、国内でもかなり珍しいものです。
また、鉄イオンと硫酸イオンを含むと緑礬泉(りょくばんせん)と呼ばれ、アルミニウムと硫酸イオンを含むと明礬泉(みょうばんせん)と呼ばれますが、沼尻元湯はなんとどちらも満たします。
よって旧泉質名では含硫黄酸性明礬緑礬泉となります。
長くなりましたがそれだけ面白くて特徴のあるお湯なのです。
中ノ沢温泉も全て沼尻元湯からの引湯ですが、田村屋旅館は距離が近いこともあり、酸っぱさが際立ついいお湯。沼尻スキー場も近いのでスキー終わりにもオススメ。